音律

かっちょ

2009年09月06日 23:25

今日はちょっと専門的なお話です。

1722年にバッハが採用した平均率。普段当たり前のように私たちピアノ調律師が調律している音律です。

以前弦楽器の演奏家の方とお話しする機会があったのですが、弦楽四重奏や管弦楽では、演奏家や楽曲など様々な条件でピッチが変わるそうです。私にとっては全く考えもしなかった驚いたお話でもあり、なるほどとも思った話でした。

ピアノは調律師が調律してピアノでは、音律は出来上がった状態なので、演奏家は音律を操作することはできない。管や弦はそれをしている。

ピアニストだって、演奏する音楽によっては古典調律を希望したりもします。平均率で調律したって、それをおかしいと受け取る方もいます。これは私のおごりではなく、例え正しく調律したピアノでも、演奏家には変に聞こえることがあるのです。ピアノは楽器の音量などの問題からそのままの音程(基音といいます)では十分な音律を形成することが難しく、倍音を利用して音律を作っていることがあります。だから基本に忠実な調律をすると、正しく調律されていないと感じるピアニストもいます。しかしこれはもろ刃の剣で、どちらかに合わせるともう一方を狂って聞こえてしまうのです。こういうところにピアノ調律の面白さがあります。ピアニストの好みに合わせて、音律を変えることもあります。楽器も演奏家もさまざまですが、音律も弦楽器などのようにさまざまなのですね。いつもピアニストの皆様には勉強させていただいています。

なんか音ってマトリックスのようです。ドレミファソラシドは同じなのに微妙に違い、実態がない。基本は一緒でも絶対にこれが正しいという音律は定義されていなく、いろいろな条件で使い方が変わる。まだまだ自分が知らない音楽があり、聞いたことがない音律があると思うとこれからが楽しみです。

※写真は先日北部で調律したときのこと。牧場の隣にあったピアノですが、馬の親子がおいしそうに食事をしているのが印象的でした。自然の真ん中で、ピアノのオーナーが奏でるバッハの音楽はとても美しく響きました。今度は家族で遊びに行きたいです。

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